觀覽者の聲


『みづゑ』第三十九
明治41年7月3日

 これは太平洋畫會展覽會水彩畫室の聞き書と二三誌友の投書とを集めたものである。
■丸山君の『薄日の妙義』はヱゴイ■吉田君の『富士』はトクサがかゝり過てゐる、本磨きである■大下君の『木崎湖』の白丸は魚でも浮いてゐるのかと思つた■中川君の空は不相變ラシヤ紙的だね■中川君の『入間川』や『秋のくれ』はちと鼻につくね■石井君の『舞姫』は美しい、こんなものを描く石井君も隅には置けぬ、但し毛布は綿入のやうでボテボテ■吉田君の『月見草』は水中のやうな思ひがする■藤島君の『淺間山』山上を汽車が通つてゐます■茨木君の『夕日の山』これは荒彫りである

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