紹介


『みづゑ』第四十
明治41年8月3日

 題して法華詩篇といふ、藏むるところ『常在』『地獄の巻』『難風』『始めて佐鳥を望み見て』『片瀬の濱に樗牛を思ふ』の五篇のほか附録として人生及自然を歌ひしもの十五篇を添へたり、現時詩といへば難解を意味し閑人ならぬ吾々如きは止むを得ずその趣味に遠ざかりつゝありしが、いま此書を得て誦ずるに、文字力ありてしかも平易に、詩形新しくして拮屈ならず著者の感想を傳へて遺憾なし。さるにても、此篇を最後として、再び詩に筆を執らじとの著者の宣言は取消とせられたきものなり。(クロース表紙四六判二四〇頁、六十錢、神田富山町左久良書房)

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