『みづゑ』第四十一
明治41年9月3日

 朧月は春のもので、山中に見るよりは里の方がよく調和する。静かな漁村、柳三四本の河畔、等が趣が深いのである。夏の月は凉にあるので、夕立の晴れたあと、木の葉、草の葉にある雫に月の光が映つてきらめく時は、いひしらぬ凉しさを覺える。仲秋の月は澄めるを貴び、冬の月はもの凄いのである。
 月と調和する樹木は、松(滿月)、櫻(霄月)、柳(新月)、杉林(半月)、冬木立(三日月)(明けの月)
 〔丸山晩霞氏、女性と趣床〕

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