編者より
『みづゑ』第四十一
明治41年9月3日
◎佳田氏へ『月光』は面白しいづれ中繪として本誌に光彩を添へ可申候、『花市』市といふ感なし、人物が主となれり、花畑とでもせは可ならん、右の手が大き過るやうなり、惣じて色彩強烈にして優しき花と調和せず。『漁村の夕』夕として空の明るさが足りぬ、是は屋根が明るきためなり、前景の稻田はチト、ウルサキやうなり◎心配生へ『帽子』は鉛筆が硬過る、爲めに、蔭の暗い感じが見えぬ、形の方からいふても、帽の庇が少し長過はせずや。◎平野君へあまり粗末で探用しかねます。◎桐野君へ温泉場のヱハガキ難有御禮申上ます。