問に答ふ


『みづゑ』第四十一
明治41年9月3日

■水彩畫原色版は其原畫の色と同じにや、また臨本としてもよろしきや(岡崎一讀者)◎赤が常に勝つやうなれど時として原畫に等しき色調を出すことあり、『みづゑ』四十の富士山の如きはよき方にて臨本となしても差支なし■私は『静物寫生の話』によつて鉛筆畫を試みましたが繪が早く出來過て困ります如何したものですか(心配生)◎注意が届かぬからです、帽子一個を畫くにも輪廓の時充分注意して、割合やら比例などをよく實物を見比べ、實線を引く時も同樣にして、蔭をつけるにも其濃淡を比較研究して叮嚀に寫生する時は隨分長時間な要します、併し早くして上手に出來れば結構です■神田文房堂の大下先生選水彩畫具一揃組物とは如何(心配生)◎差當り寫生に入用の道具類を集めたもの、但代價は同店の目録よりは只今は安くなつてゐる筈■一春鳥會々員とは如何二地方講習生とは『みづゑ』二十七號にあるものにゃ三通學者と地方講習生と進歩に於て差異なきや四地方講習生は鉛筆より始めてよきや且一ヶ月に何枚送添削を受くることを得るや五溶解ラツクの使用法及賣捌所(KT生)◎一『みづゑ』第三十一に日本水彩畫會々友規定あり、春鳥會々員といふものなし二同じものなり三勉強の程度によれど通學せざれば滿足なる進歩なからん四よし、添削の繪の數に制限なし五神田文房堂にあり、鉛筆又は木炭畫の摩擦して消ゆるを止むるため霧吹にて畫面若くは畫面の裏を濕ほす

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