動物寫生中の出来事
『みづゑ』第四十二 P.20
明治41年10月3日
英の女流畫家ルーシー、ケンプ、ウイル嬢は動物の寫生を以て一寸名を知られた人であるが、此の間戦争畫を描くために一匹の馬をその畫室に入れて寫生してゐると如何したはづみか、馬は急に荒れだして直ぐに畫室を跳り出て其畫室の所在地たるブツセイの市中を驅け廻つた。それで嬢も驚いて警官や市中の人々と侶に馬の跡をば追つかけ廻つて夢中になつてゐるさまの、なんと言つても活動寫眞に好くある圖なので、人々拍手して興がつたそうである(新公論)