紹介
『みづゑ』第四十二
明治41年10月3日
◎山水美論小島烏水著
甲斐山岳の形態美、雪中富士登山記、不二山の繪畫に就きて、不二山と淺間山、日本アルプスなる名稱、日本北アルプスの登山談、山を讃する文、紀行文論、紀行文續論、晩秋の自然と風景畫、芒の美、川の美感、以上は本書の目次なり、著者の文章の美は今更言ふ迄もなきことながら、その多くは一度閲讀せるものなるに關はらず、再讀三讀猶飽かざるは、啻に同趣味なる故のみにもあらざるべし、表装は著者の好みにより本年の大平洋畫會カタログに擬せるもの、清楚愛すべし(四六形二六六頁七十錢、日本橋下槇町、如山堂發行)
◎寫眞例題某臨時増刊第一は、浪華寫眞倶樂部第二回展覽會の優秀なる出品畫十葉を抜きしもの、版面も大形となりて普通號よりも一層美事なるを覺ゆ
◎東京エコー雜誌東西南北の改題せしもの、社會上各種の問題に渉りて評論報導孰れもよく勉めたり(菊倍判二十頁毎月二回發行一冊十錢、麹町區有樂町有樂杜)