花の描き方
『みづゑ』第四十三
明治41年11月3日
花の着いてゐる草は、何色を問はず、必ず花のある部を塗り殘し、あとにて花の色を紙の地に施し、草の色を以て花の形を現はすので、かくすると、花の美彩を保つのである、微小の物を除くの外、ホワイトを使用せぬ方がよい。又花が多く集まつて咲いてゐるのは、花を先に描いて、草の色を後から施すか、又は同時に描くのである、眼より遠いものは、色と濃淡とを示せば、草に見える。それから、萌え出づる春草、燒け野の春草、苔等は色と濃淡とのみを着ければいいのである、又蔓草なども濃淡と色とに深く注意して描くのである(丸山晩霞氏女性と趣味)