水貼り(その二)


『みづゑ』第四十三
明治41年11月3日

 縁を貼る紙は美濃紙が一番よいが、丈夫な紙でさへあれば何でも間に合ふ紙の幅は三四分もあれば澤山である。
 文房店にはゴム糊のついた縁貼紙の巻たのを賣つてゐる、旅行の時など一寸よい。
 糊は硬い程よい、瓶入の『實用糊』といふのは工合がよい、ヒメ糊ならよほど硬く煮なくてはいけぬ、飯粒でも間に合ふ。
 縁張の紙に藥袋紙(茶色の色)を用ゐる人がある、紙の四邊が極まつて、剥がしてからも見よいが、近頃の藥袋紙は紙質が脆くつて時として紙と畫板との繼目が裂けることがある。(完)

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