近事
『みづゑ』第四十三
明治41年11月3日
△日本水彩畫會九月例會は仝月二十七日研究所に於て開かれたり午前は大下氏の『自然の約束』といへる講話に次て眞野氏の透視畫法講義『水に映れる影』あり、午後より研究生の出品畫に對して河合、石井、大下三氏の批評あり、終つて互選の結果一等赤城泰舒氏、二等鈴木錠吉氏、三等望月省三氏當選せり、夏期休暇中の作品を出されしため陳列の水彩畫三百七十點、何れも汗を流して熱心寫生せしものゝみなりし、茶話會の席にては石井氏の大幅の戸外寫生についての所感といへるお話ありて薄暮散會したり
△同研究所秋期寫生會は本月中旬開催さるべく場處は多分相摸川上流にして徃復三日間の豫定なりと
△松原三五郎氏主催者となりて本月二十五日より大阪に於て洋畫展覽會あり、東京諸大家の出品も多數あるべしと