問に答ふ


『みづゑ』第四十三
明治41年11月3日

□一グワツシとは如何なる畫にや二茂れる木の葉間にある極めて暗き蔭の色は何なりや、三透視畫法の距離點とは如何なるものにや(田井子)◎一具入り繪具(白の混じたる繪具)を以て畫くもの、乾いてから色の變るため不馴のうちは困難なれども、修正が出來るゆへ水彩畫よりも習ひよからん二多くブラオンマダー、パアントシーナ、クリムソンレーキの類を用ふ三中視點と畫者の止點迄との距離を水平線上に測りて得る點なれば、距離點といふよりは、實は四十五度の消點と云ふを至當とす■ワツトマン紙の水貼法を問ふ(政兒)◎紙の表裏共海綿にてよくぬらし(或は水中に入れて)捲きても戻らぬ位に紙の伸びたる時、畫板の上へ乗せ細くきりたる丈夫の紙に、硬き糊をつけて、紙の縁を畫板に貼つけるなり、此際紙の縁が濡れてゐると糊が利かぬ故、乾いた布切にて拭ふをよしとす■本會々友の作物展覽會は何故開かれぬにや(シンヤ生)◎多忙のため當分むづかし■會友と地方講習生との相違を知りたし(一讀者)◎地方講習生は作品の批評及添削を受け且描法の説明をきく事を得べし、會友は批評を受くる繪の數に制限あり又添削を受くる事を得す■一寫眞を送つたらみづゑに掲載して貰へますか二丸山大下兩先生の御住所を問ふ(花輪ハーバード生)◎一繪の寫眞ならよいものは掲載します實景の寫眞は御斷り二丸山氏は本郷區駒込神明町十四番地、大下氏は小石川區目白坂■油繪を水彩畫に直すことを得るや(杉山令三)◎油畫を水彩畫で模寫することを得るやとの意なら無論出來ます、よい油繪を水彩畫で模寫するのは中々利益の多いものでず

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