■■■


『みづゑ』第四十五
明治41年12月3日

□臨時増刊『尾瀬沼』の口繪『尾瀬スケツチ』及び『白樺』は、印刷所に於て、期日遲延の爲め再校を經ず、縱に版面を改め、且夜分印刷して直ちに製本部へ廻せし由にて、思切つて醜惡のものと相成候。石版印刷については毎回苦心少なからず、原稿は早くより廻し置くに掲はらず、いつも間際に相成らざれは校正を出さず、活版印刷成るの頃漸く刷上候次第にて、今回とても前より充分注意なせしに其甲斐なく、かゝる失態を生ぜしは誠に申譯無之候。
□依而右謝罪として石版所より尾瀬風景を別に印刷して提出可致、今度は良好のものを出すべしと盟ひ候に付、來號の『みづゑ』に添付可致候間、其にて御見許被下度候。
□次號には、久々にて丸山晩霞氏の講話及繪畫の原色版出づべく候、猶山嶽紀行を以て有名なる、小島烏水氏のラスキンについての講話、並びに石川欽一郎氏のマクワーターの水彩畫談、及び大下氏の靜物寫生の續稿並に岩代燧岳の原色版等掲出可致候。
□次號は多分この月二十五日頃印刷を終り候筈につき、前金切の諸君は、其前に御拂込有之度、猶宿所届先變更の場合は、二十日前に御通知被下度候。
□新年に入りては、郵便物多量のため、自然到着延引可致候間、新規御注文等も二十五日頃迄に御申込相成度候。

この記事をPDFで見る