紹介
『みづゑ』第四十六
明治42年1月3日
◎フランダースの犬日高柿軒譯
東京巣鴨上駒込内外出版協會
四六判百十頁定價金二十五錢
英國の閨秀作家にして且動物の愛護者たるウイダの傑作にして『世界最良圖書百卷』の一に數へらるゝもの、編中には薄倖なる少年畫家あり、忠義なる老犬あり、クリスマスの朝、雪中ルーベンズ畫聖の銅像の下に、永世の眠に入りし可憐なる少年畫家の半生を説くに笑あり涙あり、美術な愛するの士は一讀して此少年に同情を寄せられよ。
◎新年繪葉書甲乙各六枚二十五錢
東京本郷妻戀坂上便利堂
中村不折、三宅克巳、滿谷國四郎、丸山晩霞、大下藤次郎、鹿子木孟郎、寺松國太郎諸氏の水彩畫を原色版にせしものにして新年とあれど必ずしも一月使用に限らず、また水彩畫の參考としても適當のものならん。
◎東京エコー惡罵を以て本領とする丈けありて筆路痛快な極む、吾人は世道の爲め時に美術界の暗黒面をも指摘して貰ひたし(毎月二回、十錢、麹町有樂町有樂社)