水彩畫の繪具(その七)


『みづゑ』第四十八 P.11
明治42年3月3日

 ガンボーヂはあまりに紙へ滲透し過ぎて往々紙の裏迄も色が出る、日本繪に使ふ雌黄は何處の藥屋でも賣てゐるが、これを其儘用ゐた方がよい、何の手數もなく其儘でよく筆の先の水に溶ける。
 エローオークルは、チユーブに入つた者はどの會杜のでもよくない、色が黒ずむ、この繪具は乾製を自分で溶かして用ゐた方がよい。
 ホワイトは筒入のまゝではアラビヤゴムが強く光つて用ひにくい、そして澤山着ても割合に白くならぬ、之は支那製の水胡彩壹兩目を器物に入れ、水を入れて軟かにし、充分かきまぜてムラのないやうにし、オドまして水を絞り、その中へ凡そ一本程のホワイトのチユーブを押出して、グリセリンを入れて更にょく練合すので、之を用るとあまり粘らず、光澤もなくなり、極く使ひよくなる者である。(完)

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