注意一束


『みづゑ』第四十八
明治42年3月3日

●會友諸君のうち作品々小包郵便として送らるゝ時、中に薄板を入れしものあり、板は横木を附するか又は板目を横縱にして二牧入れるかせねば、途中で折れて作品を損ずるばかりでなく返送する時迷惑することあり。
●仝じく薄きポール紙に挿みて送らるゝ分はたとへ發信局を通過するとも、東京の郵便局にて小包として扱ふことを拒まるゝ故、これ又返送の時迷惑す。
●第四種郵便、即ち開き封にて逡らるゝ時、返送郵券を中に入れては規則違反で第一種として不足税を徴集される。
●批評を求めらるゝ作品に、畫題若くは番號、其日の天候、季節等明記されぬものは、自然適當な批詳が出來ぬ譯につき御含みありたし。
●大作のほかは巻て送ることなきやう希望す。
●本會に向つて他店發賣の雜誌類を注丈し來る人あれど取次は致さず。また面倒な御用は御免を蒙る。
●『みづゑ』殘本を特別割引にて頒つことゝせしが、一時に十册以内の注文には割引に應じがたし。
●見本の請求に號數を指定さるゝも應じかねる場合あり。
●振替貯金に普通郵便よ吻二三日は遲れて本會へ通知あるもの故爲替注文よりは發送延引するものと御承知ありたし。
●振替貯金拂込用紙に、註文主の姓名のみにて宿所なきものあり、又は他人の家に居て肩書を脱せしものあり、用紙の裏面に其拂込の目的明記なきものあり、(かくの如く不完全なる註文をして送本せぬとて嚴敷申來りし人もあり)それ等は已を得ず再び明細の申込ある迄捨置べきにつき、自己の宿所姓名送金の目的は階書にて必す明記されたし。
●郵便爲替にて註文の時、其券面の拂渡局名欄には何も書かぬ方が好都合、「小石川郵便局」なんて書かれると、僅かの金額のために二十餘町も離れし處迄受取にゆくといふ迷惑を生ず。
●『みづゑ』發行日は毎月三日の定めなれど、出來るだけ早く製本させる故、短號前月内に發送を終れど、時にに定日にあらざれば出來ぬことあり、(曾て一日も發行日を遲れさせし事なし)然るに發行日前より嚴敷催促さるる人あり、これ等は眞の愛讀者として感謝する處なれど、出來れら直く發送する手筈故、發行日より遲延せし場合の外は御催促の甲斐なし。
●『讀者の領分』投書に「何々と『みづゑ』何册と交換を請ふ」といふやうな文字多し、大ていは其何々は自己の方から出して『みづゑ』何册が入用であるといふやうに解釋すれど、まことに紛らにしき文字にて時々問合せあり、今後は「何々を送るから」云々と明記する事を望む。
●『問に答ふ』『讀者の領分』欄は毎月十日頃〆切に付、翌月の本誌に發表を望む方は必す十日前に投書ありたし。
●雜誌の投書は、注文其他用事の書状と同一に書かず、必ず別紙に認められたし、然らざれげ没書となる事あらん。

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