近事


『みづゑ』第四十九
明治42年4月3日

△日本水彩畫會研究所は今回新に本科午前の部に岡精一氏、別科日曜日の部に磯部忠一氏入社、專ら教授に盡力せらるべく、仝研究所員の先輩たる夏目七策氏、並びに赤城奏舒氏も授業を助けらるべく、去月以來改革をなせしため、研究生も一層勉強の度を高め、頗る好成績を示しつゝあり
△仝研究所二月例會は、二十八日開會午前大下氏の『苦學樂作』といへる講話あり、午後丸山、岡兩氏の講話に次いて、出品畫★五十點程に對し、丸山、河合、永地、大下諸氏の批評あり、成績佳良にて賞を受けたるものは、相田氏の『靜物』望月氏の『風景』田中氏(横濱支部)の『靜物』の三貼にして、終つて月次會を開き、談笑のうちに散會したり
△仝研究所春期寫生會は、本月三、四兩日、埼玉縣越ヶ谷地方に催さるべく、三日午前七時兩國發、仝夜大澤の旅宿大松屋に一泊の筈なり、會友の出席は自由なるべし
△太平洋畫會にては、六月一日より一ヶ月間上野公園竹ノ臺陳列會北部に於て展覽會を催さるべし
△白馬會に、本月中旬より赤坂溜池三會堂にて展覽會を開かるべく、本年はヴラスケス其他の摸寫數點出陳さるべしといふ
△東京寫眞研究會第二回品評會は、五月七日より三日間赤坂三會堂にて催さるべし△森親子商會新輸入の、ウヰリアム、ラフアエル商會の水彩繪具は、本誌讀者に限り廣告のため一割引にて發賣せらるゝ筈なり其在品目はチヤイニスホワイト、クロームヱロー、ガンボーヂ、エローオークル、プラシアンブルー、ヴアミリオン、エメラルドグリーン、バアントシーナ、ライトレツド、インヂゴ、ローアンバー、フツカスグりーン2、サツプグりーン、ヴアンダイクブラオン、ニユーブルー(以上二十錢宛)ブラオンマツダー、クりムゾンレーキ、カーマインレーキ、オルトラマりン(以上三十錢宛)コバルトブルー、ローズマツダー、カドミユームエロー、ヴ井りジアン、レモンエロー(以上四十五錢宛)の二十六色なりと△日本橋三越呉服店内にても、彩料品の賣店あれど品數充分取揃ひ居らず、ワツトマンは一枚二十土錢なりときく

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