岩村透氏著『擽亭閑話』
『みづゑ』第五十一
明治42年6月3日
畫かきの中には、實地其場處に臨み、詳しく寫生した精密な畫稿から描き上る者もあり、又た同じ場處を、其場所で受けた強い印象を根據として、全く記臆から描き上る者もある。しかも後者の方が、たとへ其場處の細部には適はずとも、性格と相貌を與へる上に於て、遙かに前者に勝つてゐるかも知れん。絵を描くには、深く感じる事が必要である。(岩村透氏著『櫟亭閑話』)
『みづゑ』第五十一
明治42年6月3日
畫かきの中には、實地其場處に臨み、詳しく寫生した精密な畫稿から描き上る者もあり、又た同じ場處を、其場所で受けた強い印象を根據として、全く記臆から描き上る者もある。しかも後者の方が、たとへ其場處の細部には適はずとも、性格と相貌を與へる上に於て、遙かに前者に勝つてゐるかも知れん。絵を描くには、深く感じる事が必要である。(岩村透氏著『櫟亭閑話』)