近事
『みづゑ』第五十一
明治42年6月3日
△日本水彩畫會四月例會は二十五日開會午前は大下講師の『自畫展覽會に就て』といへる話あり、午後、磯部大下兩氏の出品畫百餘點に對する批評ありて夕刻散會したり。同日賞を得しは瀧澤、松山、佐藤の三氏なりし
△太平洋畫會展覽會は、上野公園に於て六月三日開會、當日は特に招待状を有する人々にのみ観覽に供し、翌四日より二十九日迄公開する事に決せり。陳列品は三百餘點の見込にて、今回は鑑別を嚴にして、少數にても傑作を集むる方針なりと
△仝會閏品畫のカタログは、版畫約四十點を蔵め、美麗なる装釘を施して、開會當日迄に本郷湯島切通坂町畫報社より發賣すべし、定價は一部五十錢の豫定なりといふ
△石川欽一郎は、臺北に在て公務の傍ら水彩畫普及に盡力せられつゝあるが、八月には一時歸京さるべく、鎌倉に於ける講習會へも時に出席せらるべし
△英國ニユーマン製の水彩繪具數十種文房堂に到着せり