夏期講習會に就て


『みづゑ』第五十一
明治42年6月3日

 年々好成績を収めつゝある夏期講習會は、關西に於ける希望者多く、同志を募つて其人名を報告せらるゝ人、近傍名勝の繪菓書を寄せられ開催地を指定せらるゝ人等續々有之、爲めに本年も關西に開かん心組なりしも、出張すべき講師の都合あしく、且昨年關東に於てその催なかりしため、東京附近の開催を望む人尠なからず、依て今回は海に、山に建物に、あらゆる好材料に富める鎌倉の地に開くことに粗ほ決定致候。會期は八月三日より二週間、講師は大橋正尭、大下藤次郎兩氏を主とし、日本水彩畫會研究所の講師時々來援せらるべく、課目は、墨繪、水彩畫、透視畫法等、滞在費用一日金五十錢内外、詳細の規定は七月の本誌に發表可致候。同地は御承知の通り名勝舊蹟に富み居候間、關西の諸君も此機を利して御出席ありたく、且要塞區内にして、平生許可なくして寫生し得られざる地なれど夫々手續の上差支なき樣致し置可申候。猶、明年は、九州四國共に出席に都合よき地を選ひて開催致し度ものと存居候。追て此講習出席希望の方は、前以て御申込あらば、會場及宿舎其他の準備上好都合と存候、次に別項廣告の通り、日本水彩畫會長野支部開催の夏期講習會有之候に付、同地方附近の諸君は其方へ御出席有之度候
 更に、越後出雲崎有志より夏期講習會開催の申込有之候、會期は八月二十二日より一週間にて次號に詳細規定を示すべく候間仝地方有志の出席を希望致候
 『みづゑ』第十七、十八、二十二、二十三、二十八、二十九、三十、三十一、四十一、四十二、四十三には青梅、長野、大阪、澁、奈良等に於ける講習會の記事あり、第十七、十八、二十九等は目下品切なれど、他は特に一部金拾錢の割を以て御需に應すべく候

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