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『みづゑ』第五十二
明治42年7月3日

□本號口繪大下氏の分は何れもワツトマン九ッ切のスケツチより撮りしもの、磯部氏の分はOW紙四ッ切のスケツチに御座候
□次號にばロンドンタイムス所論、石川氏譯の『寫眞と繪畫』よ題する講話、大下氏の『靜物寫生の話』續稿を出す筈に候
□口繪は眞野紀太郎氏の『葉鷄頭』、中繪は松岡友次郎氏の『京の涼み』、寫眞版には太平洋畫會展覽會出品の水彩畫を挿入可致候
□夏期講習會は、廣告の通りいよいよ鎌倉と决定致候。本年迄既に四五回、本會又は日本水彩畫會の名義の下に、年々開催好結果を収めつゝ有之候へ共、開會前の準備、會場の交捗、會員宿所の選擇談判等に少なからぬ時間と勞力と心配とを要し候に付、或は本年限りにて廢止(本會の主催は)可致候哉も難斗候間、諸君もなるべく御繰合せ御出席を希望致候
□本會主催としての講習會は、前述の如く本年限りと可相成候も、各地有志に於て相當の設備を整へて御申越被下候はば、會よりは講師を出張致させ可申候。
□昨年講習會へ御出席の方は、重に關西地方に住居致され候事なるが、今年はチト遠方になりしも、願くは御參會ありたく、繼續して御研究になることは大なる利益なるべしと存候
□石川、丸山、大下諸氏の共著『最新水彩畫法』は、近日小石川久堅町成美堂より發行致す筈に御座候。内容は、本誌初號より二三十號頃迄の講話、並に他の新聞雜誌に講説せしものを補修し、順序を立て編輯致候ものにて、理論及技術の二方面に渉り居候間、諸君を益すること少なららざるべしと存候。本誌初號より御所持の方と雖も、順序を正しく御再讀ある時は、又更に新しき教訓に接するの思ひあるべく、本書を求められ候も决して重複の憾は有之間敷候

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