水彩畫夏期講習會規定


『みづゑ』第五十二
明治42年7月3日

水彩畫夏期講習會規定
  b:一 會塲 鎌倉建長寺内本派普通教場
  一 會期 八月二日より二週間
  一 講習課目 墨繪 水彩畫 透視畫法 講話(實習は戸外寫生を 主とし、初學者には時々靜物寫生をなさしむ)
  一 講師 大橋正堯氏 大下藤次郎氏 其他本會研究所講師諸氏
  一 會費 記名料金一圓 講習料金二圓(講習課目の數により増減 なし)
  一 申込期限 七月二十日但其際學歴職業年齢等を記したる入會願 書に記名料を添へて東京小石川區關口駒井町三番地春鳥會(振 替東京六九六三番)へ申込むべし○婦人入會差支なし
 ■講習は各自技倆の程度に應じて教授する故極めて初學の人にても入會差支なし■本會々友及び『みづゑ』特別讀者地方講習生は記名料半額■本會研究所生徒は記名料を要せず■講習生の携帯すべき器具は墨繪なれば畫學紙若干。畫板。消ゴム。小刀。HB印、BB印鉛筆若干。留鋲四個。水彩なればワツトマン紙若干。繪具箱。畫板。HB印鉛筆。水筒。木綿一尺程、他に透視畫法講習用としてノートブツク一冊。三角定規。コンパスの類。戸外寫生用として三脚床几の類必要也。但繪具は必ず左の十種を備へられたし○チヤイニス・ホワイト○ガンボーヂ(雌黄にて可なり)○エロー・オークル○ヴェルミリオン○クリムソン・レーキ又はカーマイン○ライト・レッド○バアント・シーナ○インヂゴー○オルトラマリン○コバルト○セピア■本會指定の宿舎は鎌倉雪ノ下鶯谷(八幡社西)丸屋にして宿料茶代心附共一日金六十錢■指定の宿舎内にては飲酒を許さず又同宿生の迷惑となるべき行爲を禁ず■指定の宿含に入らんとする者は七月二十日迄に申込むべし■講習生は八月二十日午前七時迄に會場に參會すべし■講師は八月一日迄に丸屋に出張すべし
  明治四十二年六月 日本水彩畫會
 ■鎌倉は要塞地帯にして寫生の許可を受くる上に都合あればなるべく期限前に申込まれたし■鎌倉地方の出席者は雪の下百二十番地大橋正堯氏方へ申込むも差支なし
  北越之部
  一 會塲 三島郡出雲崎尋常高等小學校
  一 會期 八月二十二日より一週間
  一 講習課目 水彩畫(實習及講話)
  一 講師 大下藤次郎氏
  一 會費金壹圓
  一 申込期限 七月二十日但其際入會願書及會費を添へて新潟縣三 島郡出雲崎尋常高等小學校内三島郡北部洋畫會へ申込むべし○ 婦人入會差支なし
  ■携帯の用具は前項に同じ■用貝購入望の方は前以て申込まるれば本會にて取扱ふべし■宿料は一日金三十五錢なり■詳細の事項は本會へ問合はされたし
  明治四十二年六月 三島郡北部洋畫會
 □青梅及び長野、大阪、澁、奈頁等に於て開きれる講習會の記事は『みづゑ』十八、二十二、二十三二十八、三十、三十一、四十一、四十二、四十三に詳なり右入用の方へは一部金十錢の割にて送付すべし

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