近事
『みづゑ』第五十三
明治42年8月3日
▲日本水彩畫會研究所六月例會は二十七日開會午前眞野講師の透視畫法講話、午後出品二百餘點の水彩畫に對する河合、岡、丸山、永地、大下諸氏の批評あり、今回は一般の成績殊によろしく、相田寅彦氏の靜物、並に並木富太郎氏の風景は賞を得たり。なほ、デツサンのコンクールは、一等赤城泰舒氏、二等水野以文氏なりし。同茶話會の席にて丸山氏は、信州岩菅山麓高原の風景を紹介されたり、同地には温泉もあり、宿料も低廉、澁温泉場より僅かに山道二里半、交通も不便にあらず、沼澤あり深林ありて、寫生の材料は極めて豊富なりといふ。