讀者の領分


『みづゑ』第五十三
明治42年8月3日

■油繪用品、繪具十五色、筆三本、パレツトナイフ、パレツト、リンシード油一罎、パレツト用油壺、スケツチ板四枚右一二度使用したまだ新しきもの送料共金四圓にて譲る、他に『みづゑ』五十號譲受たし(山口縣豊浦郡勝山村楠乃石川義春)■ 御芳筆を賜はりし諸兄姉よ引續き御恵みを願ふ又昨年のハガキ文學全部水彩畫油繪と御交換下さい(米澤市免許町下一三〇八佐藤周子)◎このやうなのが意味不明なり書物が入用なのか繪が入用なのか■ 田舎住居の我が爲めに自筆水彩繪葉書の交換を願ふ乍拙筆必す返葉す(三河國三好野々山彦三郎)■前號の『みづゑ』を一寸、展覽會評は穏健、穗高山紀行は快文字に繪も何れも結搆あの雪の山を見ると三伏の暑さは何處へか往つて仕舞ふやうだ(好畫道人)■ 葉書形スケツチ箱格安に譲りたし但未使用品、次に肉筆水彩葉書の交換を乞ふ必す返葉す(相州鎌倉長谷堀谷紫海生)■ 三脚、水筒、油繪具及洋畫講義録一、二、四、五、六、七號安價譲りたし(長野市花咲町齋藤就一)■ 肉筆スケツチ水彩畫の交換を乞ふ四日以内必す返葉(横濱市西戸部町六六五、菱沼猛)■ 眞面目なる肉筆水彩葉書の交換を乞ふ(神奈川町字二ッ谷九四四、山上義正)■大阪三越の展覽會の廣告は夢にはあらずやと喜び見物致候、生れて始めて諸先生の大作を拜し候「木崎湖」の大幅、その黙して語らざる森、死せるが如く靜まる水!浮草!神秘を小生の胸に注入するが如く覺え候、其他大橋先生の熟達したる穏やかなる筆、丸山先生の剛健の繪、河合先生の『藪』これは小生が幾度か試み幾度か失敗したるもの、成程と合點致候赤城先生の『あらしの後」『みづゑ』にて拜見せしが原色版そのまゝにて大に原色版の有難きを感じ申候(向井寛三郎)■廣く肉色繪葉書の交換を乞ふ(巖手師範、菅原藤花)■『みづゑ』に木炭畫の傑作を出されたし(北海の讀者)

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