紹介
『みづゑ』第五十五
明治42年10月3日
◎史劇十二曲山崎紫紅著東京本町博文館
四六判洋装本綴れ四〇頁正價九十五銭史劇作家として紫紅氏の技兩は世に定評あり、本篇は最近二年間の製作を集めしものにして『歌舞伎物語』『その夜の石田』「前途?』『信玄最後』『亂れ世』『艤』『明智光秀』『松一木』『懸の洞』『三七信孝』『當流鉢米』『破戒曾我』の十二篇を藏めたり、表$装極めて美なり
◎爲眞寳鑑久野轍輔$日本橋本町小西本店
四六判本綴洋装五〇四頁正價九十銭
本書の内容は學説、寫眞術上の處法、寫眞用品の使用法、爲眞要具の説明、寫眞術上須要たる諸表等に分れ、巻尾に寫眞術語の英和對象を附録とせり。読明解し易く親切なれば、初學者を益すること大なるべく、專門家もまた坐右に置て便利を感ずるなるべし。
◎文部省第二回美術展覽會畫帖昨年開催されし展覽會出品畫中、日本畫六十九點、西洋畫五十八點を抜いて寫眞版とせしもの、印刷稍鮮明を缺けど、原書の構圖だけは見ることを得べし、装釘高雅(四六二倍形横綴正價二圓五十銭、神田美土代町一丁目美術工藝會發行)
◎孤雁挿畫集壹巻欧米風挿畫專門家なる戸張氏の著にして、小説其他の挿繪十八葉のほかに、二三の講話を載せたり。
★れも眞面目の製作のみなれば、此方面に趣味を有する人々には好參考書たらん(四六二倍判定價五十銭、本郷天神町二丁目日高有倫堂發行)
◎東京寫眞研究會第二回品評會畫集第三輯人物、風俗、風景等取混ぜ十五葉の寫眞を集めたり、製版印刷共に鮮明、用紙これに適へり(四六倍判正價六十銭、日本橋本町小西本店發行)
◎美の影美術家の參考にもと、考証的解部的の印畫を集めしもの、第一號には二十葉を載せたり、何れも印刷鮮明にして、近頃流行の美術的寫眞とやら獨りよがりの物にあらで、印畫に作意を加へさる點は最も喜ぶぺし(菊判横綴、非賣品、會費一ヶ月五十銭、小石川小日向水道端町二丁目彩雲會發行)