近事


『みづゑ』第五十六
明治42年11月3日

△日本水彩畫會研究所九月例會は二十六日開會、出品三百點、何れも夏期休暇中熱心研究になりしものにて佳作頗る多くこの研究所創立以來の盛會なりし。批評は石井、磯部、河合、岡、永地、大下諸氏によつて試みられ、受賞者は赤城泰舒相田寅彦、望月省三の三氏にして、他に松山忠三、瀧澤静雄諸氏の作にも優秀なるものありし。批評終つて、岡氏及石井氏の講話あり、薄暮散會したり。
△日本水彩畫會研究所程ヶ谷支部は、現在會員十八名に達し、此上増加ありては充分の授業出來難きにより、缺員ある迄入會を謝絶すべしとの議あり。九月の如きは、批評を乞ふべく持よりし作品百五十余點に達したりと。
△長野縣飯山町にありし素絢會は、今回日本水彩畫會支部設立乏共に散解し、會員は一切支部に移れりといふ、
 。△巻尾廣告にある通り、日本水彩畫會京都支部にては、本月第一日曜日發會式を擧行すべしといふ。
△日本水彩畫會十月例會は、二十四日午後より開會、出品畫二百點に近く、岡、大下諸氏の批評あり、終つて大下氏の『製作の動機』と題する講話あり、今回出品畫のうち優秀なりしは、榎本、八木、鈴木、向郷、望月、後藤の諸氏なりし。
△山岳に趣味を有する名古屋市の有志は、この頃愛山會を設立されたり、事務所は名古屋市東七本松なりといふ。

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