問に答ふ


『みづゑ』第五十六
明治42年11月3日

■一カツサン鉛筆臨本に佛文なりや二佛文にて水彩畫油繪其他洋畫に關する艮書ありや(CH)◎一英佛兩様に記載あり二日本橋通丸善書店に問合されよ■青梅及長野にて開きたる講習會の記事は『みづゑ』何號にありや二會友は記名料のほかに何等の出費なきや三ワツシとは如何なることなりや四森の茂みなとは色が汚れて困る、何色を用ひてよきにや(淺草間接讀者)◎一一八、二十二、二十三にあり二出費なし規定を精讀されよ三畫面を洗ふこともワツシと言ひ、色を廣く塗ることにもワツシといふ、其場合によりて用法一定せず四季節により、又、森の種類遠近等により一様にあらず、注意して研究し、展覽會等にて他人の作により學ふべし、但暗くして深く見ゆる處は、不透明色を避け、クリムソンレーキ、バアントシーナ等の透明色を用ひ見られよ■文房堂の割引券は何割引にや、且注文の時割引して送金してもよきにや(失敗生)◎一割引なれども品物によりては割引に應ぜざるものあり、されば一應照會を要すことゝ知りたまへ■吾等畫會を設けて研究中なれど、諸先生の肉筆畫を見、また自分等の爲生畫の批評を受たし、如何にせばよろしきや(川添生)◎日本水彩畫曾の會友となれば、規定に從ひそれ等の便宜あるべし■糊いらず水貼枠とふ普通の畫板と何れが便利にや、また前者は膨脹して描きにくし(鐵血)◎一枚の繪をかく時は手數かゝらぬ爲め前者の方が便利なり、旅行等にて澤山の繪をかく時は、後者の両面に澤山水して置く方が便利なり、又、前者と雖も、よく水を含ませ枠に挿めは普通水貼と異ならず、此枠の使用法を知らずして背面の板と同じ大さに紙をきり、たゞ背部より押して置く人あり、これでは何の役にも立たず、紙は板よりも二三分四方にあまる程の大ひさでなくてはいけぬ■東京にてワツトマン八ッ切位ひを入れる額緑の價は何程にして、何處に依頼せばよろしきや(山梨汀煙)◎壹圓位より以上は限りなし、二圓程の品なら體裁もよろし、小石川指ヶ谷町百一、山本商店へ問合されよ、親切に取扱ふならん■一『遠きものは不透明に寒く近きものは透明に暖かい』といふ意義ニワツトマン紙の表裏を知りたし(三河ユウグレ)◎一近き林には蔭の中に蔭を見るべく透明に、それが遠くなれば蔭も日向も一様に不透明となり、近き森は青や赤や種々なる色に富んで暖かな感あるも、それが遠くなれば黄の色は去り、様に藍灰色に重い感じになるといふ程のことにて、例外あることは勿論なり二紙をすかして見て年號文字の順によめる方が表なり、但繪をかくのに表にても裏にても別に差支なし一繪葉書交換は貴會にて取扱下さるにや二批評畫は水彩畫のみなりや三會告にある肉筆臨本は額縁を附せしものにや(水月生)◎一取扱はず二西洋畫なら何でもよろし三臨本を頒つなり臨本に額縁はなし■太平洋畫會畫集ありや其内容を知りたし(中丸生)◎四十一年のは本郷駒込干駄木林町方寸社にて五十銭、四十二年のに本郷湯島切通坂上畫報社にて六十銭何れも残本あらん、内容は版畫約十枚、油繪は其三分の一を占む

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