寄書 寫生
松本昇
『みづゑ』第五十七
明治42年12月3日
(君未だかい)
さつき畫き上げてしまつた友がこー云つた、
(すぐだよ)自分は答へながらスケツチ箱をずり上げて叉筆を取る、もー暮に近い日がぬるく照らして居て、廣い野の彼方から、時時牛の鳴くのが長く聞えた。
松本昇
『みづゑ』第五十七
明治42年12月3日
(君未だかい)
さつき畫き上げてしまつた友がこー云つた、
(すぐだよ)自分は答へながらスケツチ箱をずり上げて叉筆を取る、もー暮に近い日がぬるく照らして居て、廣い野の彼方から、時時牛の鳴くのが長く聞えた。