讀者の領分
『みづゑ』第五十八
明治43年1月3日
■新年お目度、肉筆水彩ハガキの御交換を乞ふ(秋田市茶町梅ノ町河杜金治)■新年お目でたう、諸君油繪又は水彩と、僕自筆水彩と交換を乞ふ、大きさは繪ハガキを望む(和歌山市鍛冶橋志賀白)■各地に設立されたる支部の從事業として公開の繪葉書競技會を開かれんことを切望す(神月北村生)■『女性と趣味』汚損なきもの定價の半額にて譲る、着金同時に送本す(名古屋市大船町二、靑木生)■小生所持四ッ切大ズツケ製族行用スケツチ用カバン元價三圓五十錢にて無疵のもの二圓に、ニユートン社製水彩繪具の十分の一位づゝ使用せしもの九色あり定價の半額三圓にて讓る次に諸君の内で岩村先生の藝苑雜稿、昨年の太亭洋畫會畫集(畫報社發行)、同繪端書審美書院發行第三回公設展覽會圖集の洋畫の部、畫道一斑(不折先生)、小島先生山岳美論等を御不用の御方は前者と交換或は定價の半額位にて譲受けたし(靑森市新町入丁柳谷方柳谷兵藏)■『みづゑ』五捨七號の原色版「晩秋」に嘗て三越洋畫展覽會にて見受けたもので麗しい色彩は見飽かない、石川先生の「地方の研究家」に吾々をして新い希望を生ぜしめた、「美術展覽會に於ける所感」は審美書院の出品圖録だけを見た自分には色彩上はわからなかつたが、理論上では良感想を受けた、「初雪」に心地好い出來であつた、「箱根宮の下の秋」は「晩秋」の樣な色ぢやあないかと思つた、「加茂川の一部」は石版が惡い樣に感じた(神戸津川)■自分は永い間の愛讀者でしたが未だ諸君と交際した事がありません、で、今後肉筆水彩繪葉書其他水彩上の智識を交換して下さる人がありますなら宜しく交際を願ひます(佐賀縣相知炭抗合宿内桑原成馬)■皆樣、私も十月より讀者に成りました何卒肉筆繪葉書の交換を願ひます。米澤の佐藤さん御住所敎へ下さい。橫濵の菱沼君御返畫難有ふ次回に必ず、小笠原島子樣私の端書は着きましたか御返事願ます。同國の中島君丸山君爾後宜しく交際を、且肉筆畫の交換を願ひます(越後中蒲原郡大蒲原村中澤澤鈴木目仙)■『みつゑ』第三、四、五、八の四册一部金三拾錢位ひにて譲受たし(栃木縣日光町星野長一)