讀者の領分


『みづゑ』第五十九
明治43年2月3日

■肉筆水彩畫の廻覽通帖を編んで、田舎の不自由なる同好者と研究して見たい、御賛成の方は下名又は本欄で(石見美濃郡都茂小學校内飯田紫朗)■小生は當地同好者數名を以て、昨年より霞水彩研究會なるものを催し居れり、諸子よ、神戸に一大研究所を設けては如何(神戸下山一、四九、B生)■公開の繪葉書競技會交換會を設けられたし、次に自筆水彩ハガキ交換の神聖にして返葉闕如等のなきもの交換希望、小笠原様御返葉を乞ふ(神戸布引久形橋東詰津川清衛)■自筆水彩繪葉書交換を願ふ、また近くの方は御來遊を(香川縣大川郡長尾村尋高小學校内三好よし)■『みづゑ』新年號所感、「雪の日」は先生御得意のもの感心、「冬の自然」は数年間御経験の結果として大に吾々を益した、「いぬのいろいろ」僕等の考及ばぬ圖柄、「山岳論」が續出されたのは喜ばしい、「オレンヂ市場」は強い色彩が目にたつ、「三脚物語」は直接先生のお話をきく様で嬉しい、「水彩肖像畫法」は出來るたけ長く且詳しく願たし(神戸津川)■私も今度會友となりました諸君の御指導を願ひます、吾々は遠く九州に居て諸先生の敎もきかれません、お互に連絡をとつて同好者を集め、かねて羨ましく思つてゐる夏期講習會を開催して頂く事にでも致さうてはありませんか。『みづゑ』一月號に一番面白く讀んだのは大下先生の「三脚物語」です、「冬の自然」、「肯像畫法」も吾々を導くことが多い、原色版は他に比なき上出來、何れも立派なものだと思つた(筑後三池郡渡瀬山口猛)■僕は書物さへ見れば上達するやうに思つてゐたがそれでにいけぬ事を『みづゑによつて悟つた、目下一生懸命に勉強してゐる、四五年すれば多少の上達もあらん、その時は盛に繪畫の交換を希望します(福岡縣鞍手郡木屋瀬町立石向羊)■三宅先生は何を感じたか前年の暮頃から油繪を描いてゐる、又一月中頃渡欧するとの事だ。水彩畫を描く時は、一度は大テイ畫面を洗つた方がよいさうだ、そうすると畫がウスッペラでなくなり、また洗つた後の色は到底油繪では見られない面白い色が出るさうだ。次に諸君のうちて『みづゑ』第九(着色畫無きもの)入用な方に差上てもよい、但一册しかない(孚明)■寫生に出る時、干した唐辛を二つかみ程半紙に包んで腰や腹にあてゝ置くと冷えません、また足袋の先に五六本入れて置くと足が暖かです(高畠生)■『みづゑ』十九、二十二、流十三を十銭内外にて譲りたし、外にワツトマン十六切スケツチ箱を安價に譲る(大阪市北區曾根崎新地一ノ八六齋藤方酒井正一郎)■學務多忙のため、未使用完全の文房堂製極上一號傘杖(三圓二十銭の品し廉價に譲る、至急照會あれ(麹町區飯田町六の二十一伊東方、宇多村信雄)■『スケッチ畫集』不用譲りたし、外に熊野屋發賣ミレー、スケッチ箱安價に譲受けたし(茨城縣結城郡菅原村坂野伊三郎)■佛國製水彩畫具陶器入十三色(定價三圓)箱のヱナメル少し疵ありて一回塗直し繪具ガンボーチ及セピアを半分程使用せり、他は完全、筆なし送料共二圓に。三號畫架無疵送料共八十銭に。両方共御入用の方は送料共二圓五十銭にて本月十充日頃迄に譲りたし、着金次第送る(青森市新町棚谷方棚谷兵藏)■『みづゑ』れ十三より五十八迄六珊九十銭にて譲る、御照會を乞ふ(長野縣下高井郡往郷村三五四、山佃直一郎)■『繪ハカキ趣味』三宅氏『旅行とスケツチ』和田氏『水彩畫帖』各汚損なきもの一部宛あり、『みづゑ』第二十九と交換を乞ふ、着本次第發送す(越後三島郡片貝村、岡村準治)
■『みづゑ』五十六御入用の方にお分け申てもよあし(近江國坂田郡鳥居本、金森醫院)■『みづゑ』第一、第三より七迄及二十の七册一部十銭にて譲受たし、太田氏『スケツチ畫法』と交換してもよろし(神奈川縣鎌倉長谷、堀谷一郎)■秋田みつゑ會展覽會は去る一日より三日間開會、非常な盛會なりし、出品は五十餘點そのうち二三油繪ありしも他は皆水彩畫なり出品者は高橋、筒井、若松、深井、境田、河村、諸橋等の諸君何れも忠實の作のみにして特に高橋氏は十餘枚の出品ありて大に光彩を添へたり諸君へ御禮を申上る(秋田水繪會)■水彩スケツチ箱、畫嚢及三脚を譲りたし、希望者は返信料を添へで御照會を乞ふ(福井縣武生町旭白崎萍)■北海道の内山白蝶君貴兄の御宿所文字不明御通知を乞ふ(八王子片岡)
■文部省第二展覽會受賞品集(洋書)、人髄畫法、洋畫講義録、泰西名鑑を三月十日前に安價に譲りたし(岩代安積郡桑野村中町三菅野三郎)

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