紹介
『みづゑ』第六十二
明治43年5月3日
紹介
◎白捧 第一巻第一號 新に生れたる文藝美術雜誌にして、華冑の貴公子達多く筆を執れり。本號にはクリンゲル、ベツクリン、シユツックの繪畫寫眞版、並にフイテュスのカット六種を挿み、獨逸繪畫に於けるNeuibealistenと題するKK氏の文章をのせたり。體裁の上品なるは最も喜ぶべし(毎月一回一部十八錢、麹町區麹町二丁目洛陽堂發行)
◎東京寫眞研究會第一回展覽會畫集第四輯 印畫十三點、うち人物六放風景七放にして、精巧なる印刷に成れり。技術上に於ける寫眞の進歩も、大なるものならんが、材料の取扱方に於て、特に非常の進歩を見る。此畫集の如き、當事者以外、一般好事家にも坐右の珍たらん(四六倍版六十錢、日本橋區本町二丁目小西本店發行)
◎山岳 五週年紀念號 菊判三百五十頁、三色版コロタイプ寫眞版等の山岳圖數十枚を挿入し、記事は、日本アルプスの巻として、中央及南アルプスに關する、十餘名家の登嶽紀行、並びに山岳に關する有益の記事を以て全誌を充たせり(正價壹圓横濱本町四丁目高野鷹藏方日木山岳會發行)
◎中央公論 春期附録號 小説には、花袋、葉舟、小劍、白鳥、脚本には、鴎外の『生田川』あり。木文、東西兩大學總長は面白く、久米氏の歴史と科學は再讀すべし(四拾錢、本郷西片町反省社)
◎無名通信 秘密號 社會各方面にわたりて其内幕を公にす、中には公然の秘密も少なからざれど、四六二倍二百頁、初めより終り迄讀了せしむるは、編輯者の技倆凡ならざるが故ならん(四拾錢京橋區元數寄屋町無名通信社)
◎早稻田文學 四月の巻 秋聲、星湖、未明、不規夫、秋江の小説。雨雀、正雄、蕭々の脚本あり。高村氏のExotischの畫家Paul Gauguin見るべし(四拾錢神田表神保町東京堂)
◎文藝倶樂部滑稽揃 春の日永の讀物として極めて面白し(二十五錢日本橋本町博文舘)