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『みづゑ』第六十二
明治43年5月3日

□口繪『森の下道』は静岡縣大宮淺間社の裏にして、原畫はワットマン八ツ切より大なるものに候
□原畫の前部は、より多く黄を含み、森の内部は、今少し和らかなりしも、其感じの出ざりしは遺憾に存候
□圖案法の挿畫多く相成候ため、他の一枚の原色版は次號に廻し申候
□別項吉成君御説の如く、本誌中繪の石版畫はあまり有益とも存ぜられず候間、毎號の挿入は廢止致し、其代り、是迄隔號なりし原色版を、毎號必ず二葉宛挿入可致候。費用の點に於て、稍々苦痛なきにしも無之候へ共、出來るだけ繼續可致候。但、寄稿に於て、よきものを得し時は、右の外に、時々石版畫を加へ可申候
□六月號には五月二十二日より開かるゝ太平洋畫會展覽會の水彩畫批評を登載いたしたく、隨て發行日は、例月よりは少々遲れ可申候
□質問及『讀者の領分』投稿は、本月に限り、締切十五日迄と御承知下されたく候
□紀念號に對する繪畫頒與は、本月三十一日を限り撤回致候間、御志望の諸君は早速御申出有之度候
□七月紀念號の内容は、只今申上兼候へ共、原色版六七枚石版木版寫眞版等約十枚、本文六十餘頁に可相成考に御座候、從て、費用は平素の四倍程を要し候へ共、繪畫頒布によつて得たる資金、及寄附金等を投じ、計算の結果、平生號の二倍丈け代價を申受る事に相成候
□前記の如く、七月號に限り一部送料共金三十六錢の割に相成候間、間違なく御拂込下され度、また前金御拂込の方にて、七月を以て前金切の方は、不足分前以て御拂込置下被度候、然らざれば一切發送致さず候
□寄附及繪畫頒與によつて得たる資金には限あり多數の雑誌に投入する時は、一册に對る割合少なくなる譯につき、紀念號は斷じて刷致さず候間、御註文は可相成早く願上候。品切後は、いかに多くの御註文ありても、再版の不可能なるは申迄も無之候

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