日本水彩畫會々友假規定

日本水彩畫會
『みづゑ』第六十二
明治43年5月3日

 一本會は水彩畫の發達及び普及を目的とす
 一本會の趣旨を賛するものは何人と雖も會友となる事を得
 一會友は自己製作品の批評を受くることを得べし
 批評は一ヶ月一回三枚迄○作品には其裏面若くは別紙に寫生の月日、時間、其日の晴曇其他必要の説明及自己の姓名を明記すべし、是等の記入なきものは批評せず○作品は板紙に挿みて送るべしなるべくは桑田式を便利とす、巻きて送るものは其儘返送すべし○毎月二十日迄に逡らるれば翌月十日迄に返送すべし〇作品と同時に相當返送料を送らるべし、但一時に數回分納附するも妨なし
 一會友の作品は鑑別の上本會展覽會に出品することを許す
 一會友には本會の出版物を實費にて頒つべく其他本會と直接關係ある出版物の類は割引價格を以て頒つべし
  一會友にして本會研究所又は講習會等へ加入する時は特別の待遇を與ふべし
 一會友には一年數回本會特約彩料舗の物品代價割引券を贈るべし
 一會友の望により一牧につき金五圓以上の擔保金を納むる時は本會幹部諸員の肉筆水彩畫を貸與すべし
 貸興期限は二週間○圖柄及筆者を指定する事を得ず○遞送其他の實費として一回につき金五拾錢を前納すべし○擔保金は繪畫歸着後二週間以内に返戻すべし○貸與せし繪畫に損傷紛失等ありし時は擔保金を没収し價格に不足を生ぜし時は追徴すべし○貸與請求は毎月二十日より三十日迄とす
 一會友たらんとする者は入會証書、履歴書に記名料金壹圓を添えて申込むべし
 入會証の用紙は半紙に限る〇文面は適宜なれども必ず捺印を要す○履歴書には住所身分職業姓名年齢及學歴等を明記すべし
 一會友は當分會費を要せず
 一退會せんとするものは其理由を明記せし届書を出すべし但記名料等に返却せず
 一會友は雜誌『みづゑ』直接購讀者たるべく『みづゑ』の購讀を中止せし時は退曾と見做す
 一會友は各自技術の進歩を努むると同時に、品性を高むる事を心掛くべし
 本會は温良なる紳士淑女の集合に成れる品格ある一團體として社會に立たんと欲す、故に會友は技術の進歩よりも寧ろ品性の修養に重きを置かれたし
 一會友に關する一切の事務は、東京小石川區關口駒井町大下藤次郎方に於て取扱ふ○會友よりの郵便物類も總て同所宛たるべし
  以上
 明治四十年十一月
 日本水彩畫會

この記事をPDFで見る