うはさ(太平洋畫會第一室第二室)


『みづゑ』第六十三
明治43年6月3日

■動いてゐる繪がないね■アニマルも無いね■この鳩は焼物のやうだ■ヘェーこれが五十圓!高いもンだなア(戸張君の繪の前で)■白馬會の水繪をこゝへ持つて來たいね並べて見たら面白いだらう■並べるほどの繪は白馬會には無いぢやあないか■陳列もいゝが粧飾もいゝ竹の手褶のないのもいゝ■今時手褶ナンて見物人を馬鹿にしてゐらア日本畫なら知らないこと■この繪は欲しいね(木村君の『巴里郊外』の前で)■變な手だナア夏目君の『ひとりゐ』の前で)■これでも日がアタツてゐるのか(吉崎君の『うすび』の前で)■モー繪入目録が出てゐる素早いナア■番人は玉揃ひだね番人が美人だと人物畫をかいた人に氣の毒に思ふよ■少しアクドイね(中林君の繪の前で)■シヅカモノといふのは何でせう(静物畫の前で)■これはお安くないンだとね(石井君の『京女』の前で)

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