寄書 祝みづゑ五周年

みづゑの親友
『みづゑ』第六十六
明治43年9月3日

 私は本紙に對して、少しく希望を陳べて見やう。紀念號に於て大下先生の講話中「用紙が贅澤だ」に對して否認せられたのは最も喜ぶべき事だ、又、定價、製本、繪畫等の改正も私は賛成である。なるべく、寫眞版を多く挿入してもらひたい。又、地方研究者て拜見出來ぬは諸先生の御肖像なり、今後、毎號二人か三人づゝ、此寫眞を入れてほしいし、御當人の最初繪畫に志した御話や、御経験談等、又、初學者に對して御注意などの講話を記したなら、我々初學者には、以つての外の參考になるのである、又、一般の記事でも、ラスキンの山岳論のやうな高尚なものよりは、キレイナ畫キタナイ畫等の記事はよいし、また大いに得るところがある、山岳論の類は、我々にはとてもだめだ、あーいうのは、中等の技術者にならなければ、とても不可解であらうと思ふ、それよりも、繪の具のまぜ方、筆の使用法、郊外寫生に附いての注意等との記事を載せていたゞきたい、又春秋二回特別號を出して、其季の、寫生に附いて面白い御話を載せてもらいたい、我等は、滿空の熱情を以て本誌に望むのである。

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