寄書 片々録
無茶丸
『みづゑ』第六十六
明治43年9月3日
△去年の夏初めて寫生に郊外へ出た、傘など氣のきいたものはないから樹の蔭でやってゐると、虻がやってきて頭のまはりを幾度も幾度もまはってブンブンとやかましくって何も出來なかった。こんなときには追っては却って駄目だ、ぢっと靜かにうっちゃってをけば暫くしてとこかへ飛んで行くものだ。
無茶丸
『みづゑ』第六十六
明治43年9月3日
△去年の夏初めて寫生に郊外へ出た、傘など氣のきいたものはないから樹の蔭でやってゐると、虻がやってきて頭のまはりを幾度も幾度もまはってブンブンとやかましくって何も出來なかった。こんなときには追っては却って駄目だ、ぢっと靜かにうっちゃってをけば暫くしてとこかへ飛んで行くものだ。