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『みづゑ』第六十六
明治43年9月3日
□口繪原色版『習作』は多少青味を失ひ、蔭の色の變化不充分に相成候。『代官坂』は藤島氏が本年一月横濱にて寫生せられしもの、大きさは八ッ切より稍小なるものに候。『しけ』は猪苗代湖畔戸ノ口の宿屋の二階ょり寫せし九ツ切のスケッチにして、先の剛き油繪筆にて畫きしもの、蔭の色が一樣になりしは印刷の失敗に有之候
□滋賀縣膳所町に於ける講習會の記事は次號に詳しく發表可致候
□去月東海道及び東山道の一部に於ける洪水には、本誌讀者讀君のうちにも、少からぬ害を受けられし方々可有之、御困難いかばかりかと御同情申上候
□東京も全市四分の一は水中に没し、非常の慘害に之有候ひしが、幸に本會並びに日本水彩畫會研究所共些の損害も無之候、茲に御見舞を辱ふせし諸君に厚く御禮申上候