日本水彩畫會々友規定

日本水彩畫會
『みづゑ』第六十七
明治43年10月3日

 一本會に水彩畫の發達及び普及な目的とす一本會の趣旨を賛するものに何人と雖も會友となる事を得
  一會友に自己製作品の批評を受くることを得べ し
  批評は一ヶ月一回三枚迄○作品にに其裏面 若くは別紙に寫生の月日、時間、其日の晴 曇其他必要の説明及自己の姓名を明記すべ し、是等の記入なきものは批評せず○作品 は板紙に挿みて送るべしなるべくは桑田式 を便利とす、巻きて送るものは其儘返送す べし○毎月二十日迄に送らるれば翌月十日 迄に返送すべし〇作品と同時に相當返送料 を送らるべし、但一時に數回分納附するも妨なし
  一會友の作品に鑑別の上本會展覽會に出品す ることを許す
  一會友には本會の出版物を實費にて頒つべく 其他本會と直接關係ある出版物の類は割引價格を以て頒つべし
 一會友にして本會研究所叉に講習會等へ加入 する時に特別の待遇を與ふべし
  一會友には一年數回本會特約彩料舖の物品代價割引券を贈るべし
 一會友の望により一枚につき金五圓以上の擔 保金を納むる時は本會幹部諸員の肉筆水彩 畫を貸與すべし
  貸與期限は二週間○圖柄及筆者を指定する 事を得ず○逓送其他の實費として一囘につ き金五拾銭を前納すべし〇擔保金に繪畫歸 著後二週間以内に返戻すべし○貸與せし繪 畫に損傷紛失等ありし時は擔保金を沒収し 價格に不足を生せし時に追徴すべし〇貸與 請求に毎月二十日より三十日迄とす
 一會友たらんとする者に入會證書、履歴書に 記名料金壹圓を添えて申込むべし
  入會證の用紙に半紙に限る〇文面に適宜な れども必ず捺印を要す○履歴書には住所身 分職業姓名年齢及學歴等を明記すべし
  一會友に當分會費を要せず
 一退會せゐとするものに其理由を明記せし届書を出すべし但記名料等に返劫せず
 一會友は雜誌『みづゑ』直接購讀者たるべく 『みづゑ』の購讀を中止せし時に退會と見做 す
 一會友は各自技術の進歩を努むると同時に、品性を高むる事を心掛くべし
  本會は?良なる紳士淑女の集合に成れる品格ある一團體として社會に立たんと欲す
 故に會友に技術の進歩よりも寧ろ品性の修養に重きを置かれ表し
 一會友に關する一切の事務は、東京小石川區關口駒井町大下藤次郎方に於て取扱ふ○會 友よりの郵便物類も總て同所宛たるべし
  以上
  明治四十年十一月
  日本水彩畫會

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