談片


『みづゑ』第六十八 P.4
明治43年11月3日

 野外の寫生に活氣のある繪を描かうといふのには、常にデツサンを充分にやつてゐなくてはいけぬ、平生デツサンをやつてゐる人達は、野外に出て迄でも、石膏でも描くやうにコツコツ突つき廻すには及ばない。

 繪は前の方に明るいものがあつて、まづそれに注意がゆき、漸々深く、奥の方へ入つてゆくといふ風にやつた方がよからう、奥の行詰つた繪は狭く見えて損だ。

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