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『みづゑ』第六十八
明治43年11月3日

□編者の旅行、文部省展覽會評等のため本號は發行日を遲延致候あしからず
□口繪『海岸』は臺灣の景にして、原畫の大さは小判ワットマン四ツ切に御座候
□『鰍澤の秋』は、藍色が勝ち黄が不足のため原畫の面影を失ひ候、大さは八寸に一尺二寸大にして十一月中旬の寫生に御座候
□『温泉場』は十六切大のスケッチに御座候同しく製版不出來
□次號は臨刊増刊にして、原色版は『白峯山麓』『落葉松』『柳』『西山峠より見たる朝の富士』の四枚にして、木版及寫眞版の小畫數葉挿入致さるべく候
□臨時號の記事は『白峰山麓の秋』及『悲鳥畫談』に御座候
□臨時號は本月二十日ょり二十五日迄の間に發行致すべく、定價は普通號と同樣にて他に郵税二錢を要し候前金に拂込濟の方は他日御送金の序でよろしく候
□十二月號は、原色版に磯部忠一氏の『初冬』相田寅彦氏の『靜物畫』、他に一葉を挿入すべく、記事には石川氏の『人は人、自分は自分』、鵜澤氏の『ターナーの水彩畫』大下氏の『靜物寫生の話』『春鳥畫談』『文部省美術展覽會の水彩畫所感』、シシウ生の『パレット物語』等掲載致すべく候
□來年一月、冬期休を利用し、短期水彩畫講習會の企有之候。時は一月三日より七日迄五日間、塲處は駿河清水若くは靜岡附近、講師は大下氏に候、此地方は冬にても暖かなれば朝より寫生するに最もよろしく候間、終日郊外寫生、雨天靜物寫生、夜間二時間宛水彩畫講話を試むる筈にて、五日間にても十日間の講習と同樣の効果を収むべき筈に候、規定は臨時號及十二月號に發表すべく候間、奮つて御參會希望致候
□日本水彩畫會横濵支部の第一回展覽會は十月十六、十七兩日開會、豫想外の盛况にて幹事は大喜ひに候
□石川欽一郎氏を講師として水彩畫を研究しつゝある、臺灣総督府中學校寫生班の第一回展覽會は、同校圖畫教室に於て十月八日九日兩日開會、出品者は糸崎固一、岩淵和男、岩瀬義男、馬塲勝次、原口誠吾、富永親徳、戸田要三、渡邊剛、鎌野誠一、吉澤初藏、加藤司、續渉、魚返哲、井衛十郎、小山暲、古屋巖、黄葉収、蓑田不二夫、鹽田哲夫諸氏にして點數七十二の多きに達し、盛會なりし由に候
□名古屋愛山會にては、十月二十一日ょり二十三日迄山岳に關する西洋畫及日本畫の展覽會を催せし赴に候

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