講習會出席の方へ


『みづゑ』第七十
明治43年12月3日

△今度靜岡で開く講習は、極短期ではあるが、朝から夜迄やるので、一日十時間程にあたるから、五日間で竜十日以上の、價値がありまた利益があらう。
△朝は八時若くは九時頃から始業して、極初學の人には靜物を半日やらせる、少しでも出來る人は戸外寫生をする、午後は全體戸外寫生で、暖かい土地だから夕景迄筆は持てやう。夜分は二時間水彩畫の講話がある、これは六日の夜迄八時間やるつもり。
△七日には、午前寫生、午後はすべての製作を一堂に陳列して一々比較批評を、試み、個人の長所と欠點とを指摘して、將來獨習してゆく人のために指針を與へる。七日の夜は茶話會でも開いて解散する筈である。
△講師は、水彩畫の参考品を數十枚携帯して、會員に見せ説明をする筈。△入會した人は、道具類は洩れなく持参すること、道具が不完全であると愉快に製作が出來ない。
△水彩畫の紙はワットマンが一番よい。スケッチングプロックでなく、一々水貼した方がよい、木炭紙や水彩畫用紙とかいふ目の荒い紙は使ひにくい。
△繪其は是非一通り揃へたい、またどれも軟らかにして使ひよいやうにして置たい。
△筆は夏毛といふのがよい、毛の尖きのあまり柔らかいのはいけない。
△用具は靜岡に賣店があるさうだから、大概なものは間に合ふであらう。東京で買ふのなら出席者に限り返送料を添へて御申越になれば文房堂の割引券をあげる。

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