讀者の領分


『みづゑ』第七十一
明治44年1月3日

■『みづゑ』六十九口繪堤の柳は面白く落葉松は前方の山岳の色が非常に氣に入つた、見飽がしない、こんな繪は他の號にも拜見したい(堀谷)■諸君先つ明けましてお目出とう―此度の臨時號は中々面白く拜見仕ました、中にも春鳥畫談は我々淺學の輩には後にも先にも無いやうな有益な記事と思はれました、あの春鳥畫談によつて迷の夢から目を覺ます人は私ばかりぢやなからうかと思ふのです、今後も時々は三脚君にでも命じて『三脚物語』のうちへ斯る事や大下先生の少年時代から現位置にまで漕きつけた履歴話を載せて下さいませ、諸君も御同意でせう(非折坊)■『みづゑ』臨時號は實に申分なき出來です、原色版の美事は近來出色、年數回かゝる企を願ひます(浪華浪客)■臨時増刊結構、白峰紀行は實地に往つたやうで、先生と御同行したと同じ感じて見ました、春鳥畫談有益の文字、とに角近來になき愉快な雜誌で、先生達に謹んでお禮申上ます(札幌KT生)■シシウ生の『パレツト物語』は汀鴎先生の『三脚物語』の兄弟分で中々面白い讀物、但しこれが出たので先生が『三脚物語』を見合せては困ります(呉の愛讀者)■年々の文部省展覽會には、特別號として水彩畫の受賞品及び、幹部先生の御出品を全部原色版で挿入してほしい、そして記事は、諸家の意見、作者の苦心談等を満載して頂きたい、恐らく同好諸君も異議てありますまいと信ずる(習志野竹庵)◎受賞者は初めから分らぬから、多くの時日を要する原色版には出來ませぬが、せめて寫眞版にでもして、展覽會特別號を出したら、さぞ諸君のお嗜好に投ずることと思ひますが、何分只今の處では、かゝる際物を出す時間もなく、又適當な補助者もない、そして開會中の十月と十一月は、一年中の寫生好季節で、編者の尤も多忙な時故、到底當分は出來ぬことゝ思ひます。尤も紀行のやうなもので、前から用意の出來るものは、臨時に發行することは困難ではありません。昨秋大下先生はじめ、其他數畫伯の小豆島に寫生旅行を試みられたことは、洋畫界にとりて誠に慶すべき事であります、で吾々は、其一斑を知りたいため、寫生旅行について『みづゑ』の臨時増刊をお出し下さい、愛讀者諸君も御同意でせう『大阪西區泉本)◎小豆島の寫生旅行は、原色版寫眞版等約百枚を含む單行本が、弘文堂といふ書店から近々發行されます、猶紀行の一部及二三の寫眞は、本號以下三回程つゞけて、『三脚物語』で御紹介します■肉筆繪葉書交換希望、今村、小池、富岡、堀谷の諸兄繪葉書有難ふ、拙畫御受取ありしや、猶不相變(鹿兒島市東千石町五六中島重治)

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