報告


『みづゑ』第七十二
明治44年2月3日

 本會に去る四十二年八月大下先生の來越を乞ふて講習會を開い た時に端を發し本年七月出雲崎に於て成立を告げた次第であ る、さて會員の募集に着手した所が應せられた諸君は少數では あつたけれども悉く熱心なる斯道研究家であられた、其後ポッ ポツ入會者もあつて積立金も可なり出來た、此分では遠からず 相當の額に達するであらう其時は盛なる講習會を開きたい、そ して改めて役員の選定もし諸般の施設を完成したい考である、 目下會員は左の十一氏である、 長谷川善作 高橋浦二郎 笹川福松 小林文吉 岡村準治 高橋常作 片桐眞次安達福次 松永龍三 庭山丑太郎 山田哲二郎
  八月十六日から二日間出雲崎に於て展覽會を開いた、出品總て 六十點、來會人引きも切らず、十二三里もある所からスケッチ 箱を肩にして來られ方もある、昨年始めて水彩畫を耳にした地 方人士も今年は之を眼にした譯だ、會員側に於ては其技術の上 に新しき何物かを得たやうであつた、新年早々第二回を開く積 である
  北越の人士よ「みづゑ」の讀者諸氏は勿論斯道に趣味を有せら るゝ向は奮つて出品もして頂きたい、また入會もして頂きたい、 そして互に腕を磨かうではありませんか(四十三年十二月)
  六々洋畫會會則
  一本會は六々洋畫會と稱す
  一本會の目的は洋畫を研究し且洋畫趣昧の普及を圖るにあり
  一當分の内本會事務所を京都寺町二條南森親子商會内に置く
  一本會の會務を處理せんが爲左の役員を置く 幹事 参名
  一本會の研究方法は毎日曜を實技の研究に當て第四日曜日の正 午より批評會を開く
  但し研究日は墨畫水彩畫油繪等會員各自の希望により專ら 寺松國太郎氏敎授の任に當る
  一會費は一回金貮拾五銭とし四回分を前納するものとす
  但し領牧の證として講習券を渡す講習券は出席の都度必ず 一回一枚を持參交附すべし(講習券は欠席の時は順次之を 次回に使用する事を得)
  一會場は當分の内京都市東寺町仁王門上ル聞名寺内寺松國太郎 氏方と定む
  一本會へ入會者は記名料として金五拾銭を入會書と共に差出可 し
 一地方會員に對する通信敎授規定は別に之を定む
  六々洋畫會代表者 松岡友次郎 橋本善次郎 石田義一 並河榮次郎 小宮清三郎森 直輔

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