報告
『みづゑ』第七十四
明治44年4月3日
日本水彩畫會大阪支部會告(三月十日)
△第一回寫生會は三月一日坂神電鐵梅田停留場に午前七時集合し大和田、佃島に向ひ、各自寫生二枚を得て仝日午後三時降雨のため散會す。來會者大隅直造、大塚正秀、松代安太郎、吉田覺衛、齋藤清次郎、北山清太郎、大塚作次郎の七氏なり。次回寫生會は來る三月十五日堺住吉方面に出動し、第三回(四月一日)は木津川附近の豫定なり。
△三月の研究會は人體部と石膏部の二部に別ち。毎夜七時より十時迄とし事務所にて同月六日より開始し來る十九日を以て閉會の都合にて有之候。人體部の第一週間は男のモデルにて引舟の姿態にて次週間は女が來る豫定。石膏部はホーマンを使用せり。第一週間の研究生に人體部大塚作次郎、大塚正秀、木村貞一、北山清太郎、石膏部左山鐵三、三宅周藏の總て六名なりき次週間には三四名の研究生増加する筈なり。
△太平洋畫會寫生團を迎ふ、三月四日午後八時四十分一行を載せた列車は梅田に着いた主なる方々は大下、吉田、中川、小杉渡部其他二三の先生方にて、大下先生の支部御來臨は都合で歸途一泊の豫定で、親しく互評例會に臨まるゝ由。
△第四回寫生會は來る四月十五日午前七時難波停車場に集合し堺方面に向ふ、同第五回は五月一日午前六時三十分梅田停留所に集合し六甲山附近に各晝食携帯費用自辨の事。
△四月の研究會。四月三日より全十六日迄の二週間開催、時間其他は前回に仝じ、會費人體部一圓、石膏部七十銭申込は四月三日迄、會費は開始の初日に御持參の事
△第二回(四月)互評會は十五日午後六時より全十時迄と、十六日(日曜日)午前九時より仝午後四時迄開催す、來會随意(會員に非ざる者にても)出品畫は十三日中を以て締切と致申候。
△大阪在住(其他地方在住)『みづゑ』讀者諸氏に告す。前號『みづゑ』誌上にて發表せし會則の如き趣意を以て茲に大阪支部を分設仕り候に就き、此際御入會相成度、種々研究上の便宜を得申候は勿論、相互に同趣味者の交際も出來得可くと存候へば大いに御賛成あらん事を希望仕り候(會則入用の方は二銭切手封入申込まれたし)大阪市南區大寳寺町中ノ丁一五一北山清太郎方
仝支部
大阪支部入會者左の如し
大阪市北區眞砂町十番地 大塚作次郎
仝東區農人町二丁目五七 大隅直造
仝南區長堀筋二丁日大福方 大塚正秀
仝北區浪花橋樋上町角 小川仁三郎
仝仝區天神橋通一丁目中野呉服店吉田 覺藏
仝全區堂島濱通一丁目六六 松代安太郎
仝全區曾根崎新地一丁目 齋藤清次郎
仝南匠大寳寺町中ノ丁一五一 北山清太郎
仝仝區順慶四丁目四六 木村貞一
仝仝鍛冶屋町二三九 佐山鐵三
以上