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『みづゑ』第七十五
明治44年5月3日

□原色版『草花』はワットマン九ッ切。『薪風俗畫』は木炭紙大。「甲州の春』は一尺に一尺五寸大にして、瘍處は甲斐の菱山より笛吹川を下瞰せし處、遠くの雪の山は白峯導嶺にして、時は四月中旬。
 口本號には太亭洋畫曾展覽會評を掲載する考なりしも、二十三日開會にて、それから書いたのではまたまた發行が遅れるすると一部の讀者諸君からは小言が出るから畫評は來月號とした。
 口六月は特別倍號として、今春太平洋畫會員の瀨戸内海旅行記を出す。講話及其他の記事も例の如く載せる。挿繪の原色版六枚は大下氏の筆、木版及寫眞版の數葉は同行の小杉、渡部、河合、中川、石川、其他二三氏の筆で而白いものが多い。口挿繪も本文も倍になろので代價も倍になる。それゆへ前金切叉は前金不足の方は至急に御拂込か願ふ、不足の方には上包に注意をして置く。
 □七月發行の豫定であつた『水』の特別號は、研究がまだ不充分であるから當分中止する。
 □質問、讀者の領分、需供案内等の投書を、同一用紙に認めたものは、其一つだけ取つて他は沒書にする。
 □需供案内捷三行と限つてゐる、三行以上になるものは沒書とする.何も十錢欲しいからでなく、さうしないと濫用されて困るからである。
 □會友諸君から送られる繪は、あまり面倒な包装にしないて置てほしい。新聞紙に二重三重に包むで、其上細紐で貮重にもからむで、書留小包で送られるのがあるが、そんな大切な繪はこちらも取扱に困るから、批評など受けによこさぬがよい。近い處の人なら自分で御持參になつた方がよい。
 □橫本のうつてない板を入れると、途中で折れて繪がいたむばかりでなく、此方から返送する時に困る、板を入れるなら横木をうつたものに限る、厚いボール紙が一番よい。こんな小ウルサイ事は書きたくないが致方がない、――常識! 當識!と幾度も繰返して言ひたい。
 □太平洋畫曾展覽會は四月二十二日を招待日として、二十三日から公開した。水彩畫の出品が百八十點程ある。

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