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『みづゑ』第七十六
明治44年6月3日

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 □本號原色版は展覽會出品のため製版を急ぎし故、ひとり大下氏の分のみに限られ、且時月少なく充分校正を嚴にする能はざりしため、往々印刷の不結果に終りしものもあり、御容恕を乞ふ。
 □原色版『津田の松原』、『多度津硯岡山』ば、一尺に一尺五寸、他は八寸に一尺二寸大なり。
 □渡部審也氏の毛筆畫は、新聞紙上に出しものなれど都合により再録せり。
 □次號挿繪は、原色版に石井柏亭氏の『伊太利所見』石川欣一郎氏の『九段招魂社』、大下の『山白合』を出すべく、他は未定。
 □次號本文には、石川氏譯、風景畫法中の『色彩』、八代幸雄氏の『偉大なる繪とは何ぞや』、大下氏の『靜物寫生の話、水彩畫の部』、等他に『日記抄』、『三脚物語』、『寫生地案内』其他例の如く、また特に建く羅馬よりよせられたる石井柏亭氏の『羅馬の水彩畫』なる一文を掲出すべし。
 □太平洋畫會第九回展覽會カタログは本會にて取次すべし、一部定價六十錢なれ共本誌讀者に限り送料共金五十錢にて送るべし、但振替貯金にて送金の向は手數料壹錢を加へられたし。
 □太平洋畫會展覽會繪葉書は、本郷區湯島切通坂上畫報社に發賣されたり。
 □本號には都合により問答及讀者の領分欄を欠く。
 □大橋正堯氏に外遊の資を供するため、正堯畫會は設けられたり、大橋氏の穏健なる畫風を慕ふの士は、入會せられたく、規定は廣告欄にあり。
 □眞野紀太郎氏の桂淵畫會は、其後續々申込あり、同氏は作畫に責任を重せらるゝ爲めに、規定の三ケ月以内配布はやゝ困難なるべし、されど本誌讀者に對しては、特に繰合せ揮毫せらるゝ筈ゆへ有志の方は速かに申込まれたし。
 □興文社發行『十人寫生旅行』は、初版賣切、二版を發賣せり、本誌讀者に限り、特價金壹圓六拾錢にて期限後と雖も注文に應ずる筈なり。
 □『瀬戸内海一週』は。『十人寫生旅行』よりも一層装釘を凝らし、近きに興文社より發賣せらるぺし。
 □大下氏著『水彩寫生旅行』は、嘗て新聞雜誌に出しものゝほか、新に執筆せられしものを加へ、原色版三十餘枚を挿入して近々嵩山房より出版せらるべし。
 □同氏著『寫生畫の研究』は、晩成堂より出版せらるべし、以上二書共七月號に詳細發表さるべし。
 □本年度夏期講習會は、八月五日より一週間松江市に於て、八月二十一日より一週間福井縣三國港に於て開催さるべく講師は大下氏なり。詳細は七月號を見られよ。
 □會友諸君より送らるゝ批詳畫に、批評のある月の五日迄の定めなり、其後に送られし分は、時として二ヶ月後にあらざれば返送されぬ事あり、御注意を乞ふ。□批評畫の返送料を拂込むことをお忘れなきやうに。
 □日本水彩畫會研究所生徒及關係者にして、本年の太平洋畫會へ出品されし人は左の如し。
  沼田喜雨太郎、夏月七策、奥村熊四郎 竹内久子、望月省三、松山忠三、吉崎 勝、岡田武彦、後藤工志、赤城泰舒、武 田芳雄、尾崎定次、相田寅彦、篠原新 三、八木定祐、瀧澤靜雄、水野以文、 中林?、長谷川曾一、鈴木一治、寺田 季一、吉田豊、渡邊六郎
 以上二十三氏にして出品點数は八十五の多きに達したり
 □本會に向つて書物の取次を求めらるゝ方あり、出來るだけ讀者讀君の御便利を圖りたけれど、何分無人にて迅速に運びかこし、それ故取次等は御斷りいたす。
 □本號は定價より倍額になりし故。特別讃者諸君は、其不足だけ御序のせつ御拂込を願ひたし。

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