紹介
『みづゑ』第七十六
明治44年6月3日
◎日本教育文庫 女訓篇、仝學校篇
神田區表神保町二 同文舘
菊判クロース本綴八百頁、 正價各金貮圓
前者は日本古代より徳川時代に至るあらゆる女訓を集録せしものにして、乳母の文をはじめ、處女賦、唐錦、其他教訓に兼ぬに名文章をも藏めたり。學校篇は、同じく維新以前諸學塾の規則及文訓童子訓等あり。女訓篇は女子を持てる一般家庭に備へて有益なるべく、學校篇は教育の任にある人には好參考品たるべし。
◎新日本畫譜 下巻 石井柏亭筆
小石川區小向臺町三丁目 方寸社
菊新形 定價七十錢
本巻には五十七圖を収めたり、花鳥山水とりどりに面白し、其の内特に構圖の上に注意を惹きしは『犬』『鷄と葱』『百合と桔梗』『山中湖畔』『湖上の菊』『川區口湖』『尾久の渡し』等にして、それ等の構圖は到底他の日本畫家の思ひも及はざるものあらん。
◎第九回太平洋畫會展覽會カタログ
本所區眞砂町三十八番地
高尚堂
六六版のハイカラ仕立にしてコロタイプ刷四十枚のうち水彩畫十四葉あり何れも鮮明にして原畫の面影を想見するに難からず(定價六十錢)
本誌讀者諸君より、本會に向つて水彩畫に要する材料取次販賣を請求せらるゝ事これ迄數十回に及べど、多忙のため御斷り申上て置た。然るに、今回北山淸太郎氏は、地方修業者の便利を圖るため、學業の餘暇に、其仕事をやつて見やうといふ。取次といふことは、其實甚だ面倒だから、北山氏には御氣の毒だが、地方の人には便利であらう、そして繪具や紙ばかりでなく、美術に關したあらゆる方面の用達をもしてくれるとの事である。北山氏は、青年に珍らしき常識の發達した人であるから、依頼者には必ず滿足を與ふる事と思ふ、安心して御註文なさい、詳細は廣告を御覽あれ。