みづゑ第八十二號要目


『みづゑ』第八十二
明治44年12月3日

ブローチ(水彩畫原色版) 三宅克巳
山路(同) 瀧澤靜雄
臺灣の町(同) 石川欽一郎
暖日(同) 寺田季一
水彩畫の今昔(一) 故大下藤次郎
偉大なる繪とは何(三) 矢代幸雄
第五回美術展覽會水彩畫合評 H・W・L・R.
箱根古道の秋(遺稿) 汀鴎
巴里の水彩畫展覽會 石井柏亭
パレツト評判記 ヱス、キタヤマ
悲しき思ひ出で 春子
畏友大下氏 藤村知子多
橫濱支部展覽會報告
寄書紹介其他
『みづゑ』は故人の愛兒であつた、が慈愛深き親は兒を残して突然逝つた。『みづゑは果して育たう乎』|誰も等しく案じた疑念である。けれども『みづゑ』も程なく八ッになる、孤兒は孤兒でも無事に育つた孤兒である。さうして病身でもなければ至つて健に育たうかと思はれる、のみならず尠なからず世の中に同情を持つて居る愛くるしい兒である。將來は母の膝下で、多くの同情者によつて保護を受け父の素志を繼ひで人に成らうと云ふ、私は此の健氣な一孤兒の爲にあらゆるものを犠牲にするを吝まぬのである。されば孤兒が前身を知るの士は父が生前より、より一層多くの同情を以て此の兒の生育を間接に直接に擁護せられむ事を望むのである(SK)

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