日本水彩畫會横濱支部展覽會報告


『みづゑ』第八十二 P.23
明治44年12月3日

 横濱支部の第二回展覽會を港町の濱港館で開くと云ふ事は大下先生御在世の時から趣まつて居まして、會場の方も既に約定濟としてあつて、先生も非常に肩を入れて居られました。
 所が、はからずも先生の御永眠!會員一同一時どうしてよいか分らなくなりましたが、兎も角先生の遺作を拜借して遺作展覽會を兼ねて開く事にきめました。
 會は十一月の十一、十二の二日間ときまり、十日は朝から會場の装飾や陳列にとりかゝりまして、夜十一時頃漸やく一通りかたづきました。(會場へは田中、淺井の二人宿直)
 出品は會員平田庄太郎、五點。西田武雄、四點。高畠和雄、八點。鷹野さい子、二點。遠藤宏、十一點。田中太郎吉、十三點平野環、三點。吉田仙太郎、二點。角田勘一、二點。淺井五郎三點。合計五十三點。故大下藤次郎先生遺作、十五點。別に參考品として小島烏水氏藏、滿谷、河合、中澤、杉浦、山本(鼎)茨木、高村、故大下諸氏の作品。渡邊和太郎氏藏、石井、故淺井、兩氏の作品、吉川米次郎氏藏、吉田、石井、中川、故大下諸氏の作品及び高畠和雄藏、故大下先生作品、合計三十二點。総計百點。それに休憩室に供ふる爲に小島氏愛藏の外國美術書籍數十册を貸與せられました。
 大下先生の畫は正面の床に飾り、先生のお寫眞に植木會社寄贈の花輪を手向けて置きました。
  十一月十一日(快晴)土曜日で午後から入場者が多くなりました、入場者約百五十名。賣約濟一點。(田中、高畠、宿直)
  十一月二十日(晴夕方より天氣變る朝から續々と入場者がありました。三百五十餘名、賣約濟五點。
 會場で會員の寫眞を撮らうと云つて居た時、大下未亡人がお出でになつたので、御迷惑を願つて先生のお寫眞と共に遺作の前で會員一同と一緒に記念の撮影を致しました。
 いつも平沼亮三、渡邊和太郎、吉川米次郎、小島烏水、山崎紫紅、磯萍水等の諸氏がこの會に御同情下さつて、展覽會の時には御愛藏の品を貸して下さったり、會場へお出でになりいつまでも喜んで話してお出でになる事はこの會の誇りとする所で、これも亡師の餘德として會員一同の深く感謝して居る所です。

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