紹介


『みづゑ』第八十二
明治44年12月3日

 飛騨山川の紹介者なり、飛騨の風物は、學術的に通俗的に、あらゆる方面から紹介された忠實な本である、飛騨に旅する人の好案内者であることは言ふ迄もなく、秋の長夜の徒然に飛騨の山川に親むことも出來やう。
◎佛國ルフラン水彩繪具
◎佛國ブルジョアヱイネ水彩繪具
  東京神田 文房堂
 ルフランの製品は既に油繪具、グアッシ等によつて定評あるが同社の水彩繪具は今度が始めてゞある、發色其他用度はニユトンに大差なく容量の多きと價の低廉なる點に於ては寧ろニユトンを凌ぐに足ると云ふ評が一致して居る、
 ブルジョァヱイネ水彩繪具には學生用と上製との二種ある、共に古くから日本に輸入されて居る繪具であるが、殊に學生用には批難が多い、これは京都の放光堂と云ふ繪具屋で類似品を出したに原因しても居やうが、然し數年前の此の繪具と今日の品物とは別物の感があるのは事實である、けれども模造品等とは根據もなきことであるのみならず數多き學生用の繪具中より若し優劣を定むるとすれば、矢張り此繪具を一番優良品に推さればならぬ。模造品は全く無いとは斷言出來ぬが信用ある繪具屋ならば其樣な憂ひはなからう。此二者の繪具は便宜上本會の便利部に於て文房堂と同じ價で取次いで上げることが出來る。

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