みづゑ第八十三號要目
『みづゑ』第八十三
明治45年1月3日
みづゑ第八十三號要目
挿繪
早春(水彩繪原色寫眞版)故大下藤次郎
臺海の町(同)石川欽一郎
カイロ(同)三宅克巳
松江大橋(同)藤田紫舟
スツデオ紹介挿畫(寫眞版)
本文
水彩畫の今昔故大下藤次郎
寫生用透視畫法(一)眞野紀太郎
日記抄故汀鴎
ローヤルアカデミーの面々山桝生
非人情の記矢代幸雄
スツデオ紹介
パレツト評判記(二)ヱス、キタヤマ
寄書
友へ。横濱展覽會を見る。手前味噌。三越洋畫覽展會の水彩畫。
あこがれ記。審査員に望む。素人の繪畫鑑賞と云ふ事。
會告。問に答ふ。讀者の領分。紹介。等
『みづゑ』は故人の愛兒であつた、が慈愛深き親は兒を残して突然逝つた。『みづゑは果して育たう乎』――誰も等しく案じた疑念である。
けれども『みづゑ』も程なく八ッになる、孤兒は孤兒でも無事に育つた孤兒である。さうして病身でもなければ至つて健に育たうかと思はれる、のみならず尠なからず世の中に同情を持つて居る愛くるしい兒である。將來は母の膝下で、多くの同情者によりて保護を受け父の素志を繼ひで人に成らうと云ふ、私は此の健氣な一孤兒の爲にあらゆるものを犠牲にするを吝まぬのである。されば孤兒が前身を知るの士は父が生前より、より一層多くの同情を以て此の兒の生育を間接に直接に擁護せられむ事を望むのである・・・・・・・(S、K)